日本では古来、森羅万象に「八百万の神(やおよろずのかみ)」が宿るとする信仰をもち、目に見えないものや日常を超えたものの存在を感じとる感性、神仏を畏れ敬う意識、生きている者と死者の関わり合いを大切にする死生観とともに人々は生きてきました。近代化の過程で失われていった非合理的なもののなかには、日常生活や現代社会の価値観にはない未来への手がかりが隠されているのかもしれません。
精神性(スピリチュアリティ)の領域へ。不可視のもの、超越的なものにむかって、感性のチャンネルを開いていくこと。「スピリチュアル・ワールド」には人を浄化し、活性化する力が秘められているはずです。
本展は30,000点を超える東京都写真美術館の豊富なコレクションのなかからセレクトした写真作品と映像作品・資料によって、日本の宗教文化や民間信仰と視覚表現の接点をさぐるとともに、スピリチュアルな世界観を背景に独自のヴィジョンを追求してきた写真家/美術家たちの作品表現を紹介します。