ここ数年、日本でのキルト人気が高まりつつあります。今年1月に「和のキルト展」や「東京国際キルトフェスティバル」といった大規模なキルト展が行われたことは、記憶に新しいことでしょう。
日本のキルト界を代表する一人である服部早苗(はっとり さなえ)。海外のキルトコンテストでも入賞を重ね、活動の場は日本だけに留まりません。細かな手仕事がなされたキルトは完成までに数年かかり、幅4メートル近くに及ぶ大作も手がけています。その作品は日本古来の文様を研究し、独自の色彩感覚によって現代的な息吹を吹き込んだ斬新な独創性あふれるものです。また西洋のモチーフも作品も取り入れ、和と洋の融合を目指しています。
打掛にキルトを施した、作家考案の打掛キルトや色鮮やかなタペストリーなど約70点を展示し、服部早苗の作品世界の全貌をご覧いただきます。また、昨年9月にニューヨークで起きたテロ事件を思い、制作された新作3点を本邦初公開いたします。
●服部早苗・プロフィール
田園調布に生れる。女子美術大学で服飾と美術を学ぶ。パッチワークスクール「サナエアートスタジオ」を主宰。西陣織の婚礼衣裳や相撲力士の化粧まわしをデザインするなど幅広く活躍する。1993年には皇太子妃殿下の御成婚を祝う作品を依頼された。
2001年、日本人作家としては初めて、ニューヨークにあるアメリカン・クラフト・ミュージアムに《ロマネスク桜》が永久所蔵となる。作品集も数多く出版され、最新刊は、『ジャパネスクキルトストーリー』(2002年4月、日本ヴォーグ社刊)。