美術史上の名画を独自の制作方法で再構築することにより、絵画とは何か?という根源的なテーマを探りつづけている山田純嗣(1974~)の作品を紹介します。
山田は近年、絵画に描かれているモチーフを石膏で立体に作り、それを撮影した写真に銅版画を重ね、樹脂を塗って仕上げるインタリオ・オン・フォトという独自の表現技法により制作しています。絵画から立体、写真、版画へと、二次元と三次元を行き来する複雑な工程の中で、作品の空間構成やタッチなど絵画の様々な要素とともに、過去の芸術家たちや当時の文化、時代背景にも思いを馳せます。
今回の展覧会では展示室を三つに分け、それぞれドローイング、石膏による立体物、そしてインタリオ・オン・フォトによる新作などを展示します。中国の山水画の構成理論である三遠(高遠、深遠、平遠)に注目し、西洋の遠近法とは異なり複数の視点をもつ名画や、当時の人々が思い描いた理想郷を表わした作品など、時空を越えた「絵画をめぐる旅」へと誘います。