山﨑治雄(1908-1987)は岡山市に生まれ、戦前、戦後の岡山の写真界を先導した岡山県を代表する写真家のひとりです。当館ではこれまで、『岡山の仏像』『岡山における蘭草の栽培』『美作路』『吉備路』を開催したが、第5回目となる今回は、旭川ダム建設工事(1951-54)の全貌を記録した作品を紹介します。岡山市北区建部町から吉備中央町にまたがるこの工事では、443世帯が水没、なかでも美咲町(旧旭町)の町域では約300世帯が故郷を離れることになりました。公共的な目的を持つ大工事とそこに代々くらしてきた住民たちへの影響を山﨑は克明に記録しています。
今回の展示では、美咲町が所蔵する生前のプリントをまとめて紹介します。岡山の戦後史に残る出来事を記録した写真家の熱意をたどります。