日本の昔話に出てくるようなどこか懐かしい風景―「ふるさと」という言葉にはなつかしい響きがあります。山や川に囲まれた自然と人々の暮らしが共存するのどかな山村の風景は、そこに生まれ育ったことのない人にも、不思議と郷愁を感じさせるものがあります。
木曽川の恩恵を受けた名古屋で少年期を過ごした平松画伯にとって、母の古里でもある木曽地方は「ふるさと」のイメージそのものでした。望郷の思いは木曽川周辺を巡る「水の路」の旅へと画家を駆り立て、同時にライフワークでもある「路」という壮大なテーマにつながっていきました。
このたび、日本のふるさとの原風景を母の故郷である木曽周辺に追い求め旅をして描いた作品や、だれもが心に持つどこかなつかしい風景をあたたかなまなざしで描く画伯の作品を日本画、素描により展示いたします。