東山魁夷(ひがしやま かいい 1908-1999)は戦後を代表する日本画家であり、風景画家です。魁夷が風景画に目覚めるのは、終戦間近に徴兵され軍事訓練の日々を送っていたとき、小休止中に熊本城から阿蘇の広大な風景を眺めた経験に端を発します。終戦後に風景画家として立った魁夷は日本や北欧、中国へと旅を重ね、そこから得たテーマで多くの作品を描きました。「自然の中で私たちは生かされている」という世界観、「描くこと」は「祈ること」であるという信条のもとに描かれたそれらの作品は、今でも多くの人々に愛され親しまれています。
本展では魁夷の日本最大のコレクションを有する長野県信濃美術館東山魁夷館から魁夷の代表作《白馬の森》をはじめとする日本画や習作、リトグラフ、装幀本など43点に加え、国際的版画家の池田満寿夫の作品36点、および中村不折、池上秀畝、石井柏亭など信州ゆかりの作家たちの作品によって信州の魅力を紹介いたします。