テレビの画面に映る福島の景色は緑に覆われている。
夏には向日葵が咲き、秋には紅葉、冬になれば穢れのない雪が舞い大地を白く染める。
そしてまもなく春が来れば、桜が薄紅の花をつけるに違いない。
そこは静けさに満ちた空間。人の姿もなく。
水面に映る景色はなめらかで、現実のそれよりも美しく感じられる。
少しの風にも震え、消えてなくなる。
はかないから美しいのか、美しいものはおしなべてはかないのか。
そこもまた静けさに満ちた空間。人の姿もなく。
声のない叫びを孕んだまま、時は永遠にながれつづけるのだろう。これからもずっと。