◆作家のことば
私が版画を始めたきっかけは小塚博先生と出会ってからです。小塚先生は川上澄生先生が会長をしていた鈍刀会の会員でした。
私は先生と勤めも一緒だったこともあり版画白峰会の創立を機に会員になりました。
10年位経って小塚先生に勧められ新構造展に出品するようになり、版種の異なる多くの作品に接する機会を得、刺激を受けました。ドライポイント等も挑戦してみましたがやはり木版が一番自分に合っていると思いました。木特有の温かさが感じられるからです。私は色彩には特にこだわりを持っています。色彩の違いで作品のイメージが全く変わってしまうためとても大事にしています。
最近の作品には樹木をテーマにしたものが多いのですが山歩きの途中で目にするブナ、カツラ、ダケカンバ等の樹木に魅せられ続けているからです。厳しい自然環境の中で逞しく生きる樹木の息づかいやその場の空気感が伝わるような作品を制作出来たらと考えています。