川上澄生は、その生涯において木版画を数多く制作しましたが、創作活動の範囲は木版画にとどまらず、水彩画やガラス絵、革絵、焼絵など様々なジャンルの作品を制作しました。
特にガラス絵は、明治から昭和にかけて活躍した洋画家小出楢重 (こいでならしげ) の著作『ガラス絵の話』に影響を受けたことから、昭和10年代から制作を始め、南蛮や文明開化などをテーマに描きました。ガラス絵のなかには額を自ら手掛けたものもあり、作品と額のイメージが重なり合うことで、その世界がいっそう際立つものになっています。
本展ではそうしたガラス絵のほか、水彩画、革絵、焼絵の作品をご紹介します。各ジャンルのインパクトの違い、筆の流れ、色彩の方法など、木版画とは一味違う川上澄生の作品をお楽しみ下さい。