《ゲルニカ》をはじめ数々の傑作を描き、20世紀の芸術に大きな足跡を残した画家、パブロ・ピカソ(1881-1973)。第二次大戦中はナチス・ドイツ占領下のパリで制作を続けましたが、終戦後、陶器製造で知られる南仏の町ヴァロリスを訪れ、陶芸の魅力にとりつかれます。ピカソはすでに60歳代半ばでしたが、故国スペインを彷彿とさせる、南仏の大らかな地中海の風土のもとで、職人の協力を得ながら陶芸を精力的に始めます。丸い皿は顔に、水差しはふくろうに、壺は女性に見立てられ、奔放なイメージへと変貌していくピカソの陶芸は、子どものような遊び心にあふれ、創造の根源的な喜びを生き生きと伝えてくれます。
日本スペイン交流400周年事業として開催されるこの展覧会は、ピカソの監修によるエディションの陶芸作品(原作陶器をもとに複数作られた作品)を中心に、同時代に手掛けた版画やポスターなども併せて紹介します。伝説の巨匠が到達した晩年の境地にふれる、絶好の機会になるでしょう。