木村光宏は1947年長野県生まれ。高校まで自然豊かな長野で過ごし、大学は名古屋に進学。在学中に油絵を独学ではじめ、その後、本格的に画家を志し京都の画塾・東丘社に入塾。岩沢重夫・堂本元次・曲子光男らに師事し研鑽を積みます。1980年に日展に初入選。1985年に「ピエロ」、1989年に「生 (いきる)」で2度の日展特選受賞を果たし画家としての頭角を現します。そんな木村の画家としての歩みを確固足るものとしたのが、1997年の「兆 (きざし)」による第14回山種美術館賞展での大賞受賞です。以降、名古屋を拠点に日展会員として、精力的に活動しています。また2000年頃からは国立公園を取材し、自然の大きさ、四季折々の姿を作品にしています。本展は初の特選受賞作品「ピエロ」から、近年の国立公園シリーズまで、画業の変遷を展覧する回顧展です。木村の画業初期の画題である人物画に見られる洋画的な気配は、風景画に転ずる頃から影を消し、故郷長野で育まれた自然へのまなざしが作品に息づきはじめます。そして近年の国立公園シリーズでは、自然の大きさ、四季折々の姿を独自のタッチで描き、自然の移ろいを叙情豊かに表現するものへと発展し、観る者を魅了しています。日本画家・木村光宏の織り成す芸術世界の広がりをお楽しみ下さい。