四季折々の花や戯れる鳥たちを描いた花鳥画には、移りゆく自然を慈しむ日本人の美意識とともに個々の画家たちの温かなまなざしが注がれています。明治、大正、昭和の時代に東京画壇に名を轟かせた荒木寛畝一門(読画会)は、日本絵画の伝統を尊重しながら、写実を加味した気品のある花鳥画世界を築いてきました。
本展は、荒木一門の秀作を多く所蔵する日立市郷土博物館の協力を得て開催するもので、荒木寛畝に師事した茨城県出身の五島耕畝、永田春水をはじめとする荒木一門の貴重なコレクションを一堂に展示し、写実的な花鳥表現と華麗な装飾美による花鳥画の世界を紹介します。加えて、茨城県近代美術館が所蔵する、南画家奥原晴湖や日本美術院の木村武山など同時代の花鳥画もあわせて展示し、近代における花鳥画の魅力を幅広く紹介します。