本展は、現代の備前焼を代表する陶芸家である隠﨑隆一 (かくれざきりゅういち) 氏の作品の全貌をご紹介する展覧会です。
隠﨑氏は1950年に、長崎県の五島列島、椛島 (かばしま) に生まれました。大阪芸術大学でグラフィックデザインを学び、卒業後はデザイン会社勤務を経て、岡山県備前市で伊勢﨑淳氏 (現・重要無形文化財「備前焼」保持者) に師事し、独立後は、同県瀬戸内市長船に窯を築いて作陶家として歩んできました。土の特性を見極め、徹底して焼成にこだわり、自ら志向する斬新でデザイン性の高い造形で魅せる隠﨑氏の作品は、備前焼の表現に新生面を切り開いています。
「事に仕えて」とは「自然への畏敬の念とあるがままの心を表現すること」という隠﨑氏の作陶理念を表した言葉です。本展では、1983年の修行時代に制作された作品から造形性の高い彫刻的な作品および、食器、茶碗など最新作にいたるまでの約55点により、30年にわたる隠﨑氏の仕事をご紹介いたします。