ルネサンスの都として知られるイタリア、トスカーナ州の州都フィレンツェ。16世紀以来、メディチ家をはじめとする歴代のフィレンツェ統治者が住居としてきたのがピッティ宮です。その広大な建物と敷地の中には、現在、6つの美術館、博物館が設置されています。ルネサンス絵画を展示するパラティーナ美術館は特に有名ですが、今回の展覧会は、ピッティ宮の3階に位置し、18世紀後半から20世紀前半のイタリア美術を収蔵する近代美術館(Galleria d'Arte Moderna)の全面協力のもと開催されるものです。
19世紀中頃のフィレンツェでは、イタリア統一運動(リソルジメント)の熱気の中、「マッキアイオーリ」と呼ばれた若い画家たちが従来のアカデミックな表現を否定し、自然から学んだ光の効果によって現実の風景をとらえました。彼らはトスカーナで育まれた初期ルネサンスの魅力を再発見する一方、同時代のフランス絵画の新傾向を取り入れ、イタリア美術に革新をもたらしたのです。
本展では、“イタリアの印象派”とも呼ばれるマッキアイオーリを中心に、19世紀から20世紀前半のフィレンツェおよびトスカーナにおける美術に焦点をあて、ピッティ宮近代美術館が所蔵する絵画約70点により、イタリア近代美術の流れを系統的に紹介します。