長岡國人「石の脱皮」によせて 島田誠 (ギャラリー島田)
長岡さんの仕事は西ベルリンでの色彩銅版画から、古和紙を使った「石の脱皮」シリーズ、拓本・紙造形による「大地の脱皮」シリーズ、スピリチャルスポット「インスタレーション」、アルメニアでの「墓碑の拓本」などへと展開してきた。そのどれもが壮大な宇宙観のもとに深く厳格な思想性、宗教性が幾層もなす歴史の襞として、紙、弁柄、柿渋など選び抜かれた素材によって織り込まれている。それらは欧米、アジア、日本における普遍的な生命にたいする畏敬により構成され、屹立した存在としてある。
今回の神戸での初個展では代表作である「石の脱皮」シリーズを御覧いただきます。あらゆる生命体は皮膚によって守られ、死して地球の被膜たる大地に帰る。その大地が覆う岩盤とて、また薄い皮膜に過ぎず脆弱に揺れる。
生死の水際に結晶化された美を永遠へと脱皮させたのが長岡さんの作品だと思います。