人類最古の文明、メソポタミア文明は、いまからおよそ5000年前、現在のイラク、シリア、トルコを流れる2つの大河、ティグリス川とユーフラテス川の間で育まれました。豊かな生産力を背景に巨大な都市がうまれ、遠隔地から希少な鉱物や木材、貴石を入手する交易システム、各種の取引を記録するための文字=楔形文字が発明されました。現代社会の基礎となる社会・経済の仕組みや技術の多くがすでにこのときに生み出されたのです。
本展では平山郁夫シルクロード美術館所蔵のメソポタミア関係資料を厳選しました。典型的な古代メソポタミア文明の資料を揃えた本展は、教科書にわずか数行で記される人類最初の文明の奥深さを伝える大変貴重な機会です。
2009年に亡くなった日本画家・平山郁夫画伯はシルクロードをテーマとした優れた作品を多数遺しました。また生涯を通じて文化財の保護活動に尽力されました。本展では古代メソポタミアを題材とした平山郁夫画伯の素描作品も展示します。
約300点の美術工芸品と平山画伯の絵画作品から、世界最古の文明の奥深さと、古代メソポタミアの原風景を思い浮かべていただければと思います。