蘭島閣美術館は広島県安芸郡下蒲刈町の町立美術館として、平成3(1991)年10月に開館しました。館名は同地に多く自生していた春蘭の名に由来しています。美しい松の立ち並ぶ白い石畳の道沿いに建つ、総ヒノキ造りの和風建築の姿は、歴史と豊かな自然にはぐくまれた風光明媚な瀬戸内の風景と見事に調和しています。
収蔵品は、郷土ゆかりの作家や日本を代表する美術作家の作品を中心に、日本画、油彩画、版画など約2200点を誇り、中でも日本近代美術のコレクションの充実には圧倒されます。また近隣には別館や三之瀬御本陣芸術文化館なども併設され、史跡御番所跡地にふさわしい情緒豊かな佇まいを見せており、歴史と文化を活かしたまちづくりが進められています。平成15(2003)年には呉市と合併、開館23年を迎える現在も、周辺地域の情報発信基地として、芸術文化の拠点として多くの人たちに親しまれています。
本展では、蘭島閣美術館の日本画コレクションの中から、横山大観、川合玉堂をはじめ小林古径、安田靫彦、前田青邨などの近代日本画から、上村松園、鏑木清方、伊東深水、橋本明治などの美人画、東山魁夷、高山辰雄、奥田元宋、平山郁夫などの現代日本画に至るまで、日本画史上欠かすことのできない巨匠たちの珠玉の名品50点に当館所蔵の作品も加え、日本画美の系譜とその変遷をたどります。