マンガのルーツ?―いま見ても斬新な「江戸の笑い」
マンガやお笑い番組などの人気にみられるように、現代の日本人にとって「笑い」をめぐる文化は生活の中で大きな位置を占めています。その源流とも言えるのが、江戸時代に花開いた豊かな「笑い」の文化。芝居や演芸、文学など、さまざまな分野で粋な「笑い」の文化が発達しました。中でも本展でテーマとするのは、浮世絵に描かれた「笑い」。特に江戸後期には歌川国芳を中心とする浮世絵師たちにより、溢れ出るアイデアと高度なユーモアを駆使した魅力的な作品が描かれました。猫などの動物が人間のように生き生きと動きまわる、擬人化を駆使した作品や、人間の欲望をユーモラスに活写する「風刺画」、画面の絵をヒントに隠された意味を紐解く「判じ絵」など、現代の人がみても思わずにやりとする斬新な発想や、時に「くだらない!」と苦笑してしまう、ちょっと「脱力系」の笑いがこれでもかと盛り込まれています。本展では、現代のマンガのルーツとも言える、江戸の笑いの世界をご紹介いたします。