倉敷市内には多くの仏教寺院が営まれ、長い歴史を刻んできました。市内の寺院に脈々と大切に伝えられてきた寺宝は、そのまま倉敷の文化の歴史でもあります。
倉敷市では、平成6年に『新修倉敷市史 美術・工芸・建築』編を刊行し、市内の文化遺産をまとめましたが、これまで市内の仏教寺院に伝来した名宝の数々を、倉敷で紹介する機会はほとんどありませんでした。このたび、倉敷市内の仏教寺院の皆様にご協力をいただき、あらためて所蔵する什物 (じゅうもつ) をできるだけ拝見させていただいたところ、市史に採録されていない多くのすぐれた仏画などを確認することができました。もとより、すべての寺院にお伺いすることはできませんでしたが、多岐にわたる仏教寺院の什物の中で、仏画、仏像、近世以降の山水画や花鳥画などを展示し、豊かな文化的土壌の中で育まれた仏教寺院の至宝の数々を紹介します。