タカ・イシイギャラリーは、ルーク・ファウラーと角田俊也の二人展を開催致します。ルーク・ファウラーと角田俊也は、これまでいくつもの共同制作を行ってきました。タカ・イシイギャラリーで最初の二人展となる本展では、最新の映像インスタレーション作品「LEADER AS GUTTER」を発表致します。この作品は、書物のページを記録装置として捉えたいという角田の欲望にもとづいて、ファウラーが16mmフィルム映画を撮影するという遠隔のコラボレーションから始まりました。ファウラーは、蔵書票からそのタイトルと物質感に興味を引かれて「On the Nature of Maps」という本を選びました。彼はアメリカとイタリアを旅行中に、そして最後にスコットランドの自宅でこの本を撮影し続けました。
このインスタレーションは、視覚、音響、そして空間を経験する複雑なシステムとしての映画を念頭に考案されています。ギャラリーの中央に何重にも積まれたアクリル板にフィルムが映写されますが、この素材へ投影されると、像の光線は拡散するか、あるいはアクリル板と対話するように屈折します。作品のタイトルにある「LEADER」という語は、フィルムの空白部分をさし、技術用語では「黒の空白」、つまり編集過程において像と像のあいだに差し挟む空白部分を意味します。「GUTTER」という語は、印刷用語で綴じしろの余白を意味します。
映像を用いたインスタレーションの共同制作は、「Composition For Flutter Screen」(横浜トリエンナーレ(2008)、サーペンタイン・ギャラリー、ロンドン(2009):ブリティッシュ・アート・ショウ(2011))、「Ridges on the Horizontal Plane」Bielefelder Kunstverein (2011)、Galerie Gisela Capitain (2011): Inverleith House Royal Botanic Garden (2012):「New York’s “Soundings : A Contemporary Score」 MoMA、ニューヨーク(2013年11月3日まで)に続き、本展で三作目となります。
音は空洞で響くが、光は透明な固体の中で反射拡散する。
透明な層の中の光は時間の層と考えられないだろうか。
私たちは物事を時間的にも空間的にも連続して考える。
意識に僅かに残る時間と空間、記憶は様々な時間の層に関連する。
2013年7月25日 ルーク・ファウラー&角田俊也