パリ市の税関に下級官吏として22年間務めていたアンリ・ルソーは、「画家」としての自分を信じ、技術の拙さから、 いかに物笑いのタネにされようと、描くことをやめませんでした。 彼の絵画世界は、ピカソを始めとする近現代美術の巨匠たちを魅了し、今日に至るまで多くのファンを生んでいます。 ルソー以降、世界中で見出された「素朴派たち」、そして心の中に深い闇をを抱えながらも、創作に生きる意味を見出した「アウトサイダーたち」。 特に美術の専門教育を受けず、ただ描きたいという強い衝動によって創作を行ったこれらの人々は、どのような経緯で作品を生み出すに至ったのでしょうか。
本展では、 開館以来、 素朴派とアウトサイダー・アートに注目してきた世田谷美術館のユニークなコレクションによって、 何が彼らを創作に導いたかを探ります。 「余暇」「晩年」 「放浪」 「心の中」などのキーワードをもとに作品を10のセクションに分け、 また関連する近現代の作品も合わせて約140点を展示。ごく普通の日常生活をおくる私たちにとって、「美術とともにある」とは何かを考える企画です。