浜松市美術館は平成5年に浜松市出身の水彩画家水野以文を紹介する特別展「日本近代水彩画と水野以文」展を開催致しました。これを機に水野以文の作品収集に努め、今回その収蔵した作品ほか約90点を一堂に紹介致します。
水野は、明治23年浜松市豊西町に生まれ、本名は準平。画号の以文は俳人松島十湖により命名されました。明治40年(17歳)に上京し、働きながら夜間太平洋画会研究所や日本水彩画研究所で大下藤次郎、丸山晩霞らに絵を学びます。明治42年第3回文展に「晩夏」「城辺河岸」2点が初入選し、第4回文展出品作「若松」は褒状を受けます。その後、日本水彩画会創設に加わり、同会展及び日展を中心に作品を発表し続けます。その制作姿勢は、戸外での写生を第一義として、終生この現場主義を貫くとともに、清澄感のある透明水彩絵具にこだわり続けました。
水彩絵具は私たちにとって小学校から使われる身近な材料です。光や澄み渡る空間を感じさせる水野芸術とも云える透明水彩絵具の独自の魅力をお楽しみください。