川島直人さんは、今年二十歳になった足利市在住の青年です。聴覚過敏等、生まれながらの障害がありましたが、それはひとつの特性であり、鋭敏な感覚のあらわれです。中学2年のとき安野光雅の画集を先生から借りて、丹念に模写したのが描くきっかけとなりました。市内のアトリエ造形美術に通い、透明水彩を知ります。以後、家族との散歩や、通学、通勤する道端で出会った風景や草花を描き続けています。
川島さんの絵の特徴は、画面の隅から隅まで全力で描きこんでいることです。
そこには小さなものに対する愛情と、ささいな事物もおろそかにしない川島さんの気質があらわれ、なみなみならぬ集中力が感じられます。また、画面の半分を空が占める作品がありますが、空は川島さんの自由なおおらかさとそのときの感情を表現しています。どこか懐かしく切ない色合いは、川島さんならではのものでしょう。
本展は、前期と後期に分けて展示いたします。ふだん何気なく見過ごしている風景や草花がいとおしく、かけがえのないものだと気づくきっかけとなれば幸いです。