藍はすべての染料の中で、最も日本の庶民に親しまれたものといえるでしょう。江戸時代、木綿とともに全国に普及したため、地方の小さな町にも紺屋が生まれ、衣料をはじめとする様々なものが藍で染められました。藍は、防虫や防腐効果があるうえに、色の濃淡でまったくちがった表情を見せ、また、色落ちするとさらに味わいが深くなります。実用性に加え、その色の美しさが、庶民に親しまれた理由といえます。
本展では、展示室の前半に、芹沢の作品の中でも、特に藍染めが用いられたものが多い「のれん」を特集し、のれん35点を含む60点を展示します。展示室の後半には、芹沢銈介があつめた世界の工芸品の中から、日本を中心に、アフリカや東南アジアなど、世界の藍染め50点を展示します。