関西学院は、キリスト教主義を基盤とする教育理念を掲げる関西有数の私学です。政財界・産業界をはじめ社会に多くの人材を輩出し、2014 (平成26) 年には創立から125年を迎えます。
スポーツの分野での在校生およびOBの活躍はよく知られておりますが、美術の分野においても伝統ある絵画部弦月会の活動は有名で、大森啓助、野口彌太郎、吉原治良、片岡真太郎、川西祐三郎、石阪春生といった多くの芸術家が同校から巣立ちました。また、大正時代末期より創作版画を制作した北村今三、春村ただをが同校に学び、神戸初の創作版画展を弦月会が主催し1922 (大正11) 年に三宮で開催したことは、近代美術史上、重要な出来事です。そして、魅力的な銅版画を発表した神原 浩は、OBであり学生から慕われた同校の美術教師でした。
戦前、国際港都・神戸を眼前にする原田の森に建設された学舎と、昭和初期に移転したウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計による西宮・上ケ原学舎。洋風建築と緑が溢れる美しいキャンパスの風景は、しばしば出身画家の作品の題材となりました。
本展では関西学院出身の一部の美術家ですが、1910~40年代に在籍した洋画家や創作版画家10数名の作品資料約170点を紹介します。官制美術学校とは異なる環境で芸術を志し、自らの道を切り開いていったモダニストたちの足跡を振り返ってみたいと思います。