近代以降の工芸家たちは、継承されてきた素材や技術を自身の表現の手段として制作し、工芸を新たな芸術表現の領域として確立してきました。新しい素材や技術も積極的に取り入れながら、同時代的な美意識や思考の込もった作品が発表され、国際的にも評価の高い日本の工芸表現の世界が切り拓かれてきました。
東京国立近代美術館工芸館は1977 (昭和52) 年の開館以来そうした工芸家たちの活動に焦点をあてて作品を収集し、その魅力を内外に発信し続けています。今回の展覧会はそのコレクションから、陶磁、ガラス、漆工、竹工、染織、人形、金工の分野にわたる秀作を一堂に展観するものです。それぞれの分野において傑出した制作を行ってきた巨匠たち50名の芸術を紹介します。