本展は、優れた素描家と評された宮本三郎にちなみ、「デッサン」をテーマに掲げ、ビエンナーレで開催するコンクールです。また本展には、「明日の表現を拓く」という副題が寄りそっていますが、これはまさに今日的表現の基底として広がる個々の作家が抱く多様なイメージを探り出そうとする試みを示しています。
第2回目となる本展には、内外から561点の作品が寄せられました。そして、厳正な審査を経て、入賞10点、入選50点が選ばれました。
表現の源泉ともいえる一本の線は、人間の営みがつくりだしてきた様々な文化を支えてきました。それは美術に限られたものでなく、文学、音楽、建築など多岐の分野にわたります。一本の線を作家の心の発露とみなすとすれば、線の積み重ねや錯綜は、まさに作家の心の葛藤や、目指すイメージに近づこうとする努力の軌跡、あるいは実態と受けとることができます。現在を生きる作家が提出するデッサンの数々を通じ、時代と連鎖しつつ変容し続ける表現のありさまと可能性を感じとっていただきたいと思います。