佐藤氏は、2001年から2002年にかけて、自らが考案した巨大カメラを率いて、スタッフとともに日本全国・撮影行脚の旅に出かけています。
カメラのサイズは、なんと幅2.2m×高さ2m×長さ3.5m。一見、UFOか潜水艦を思わせるような不思議さを秘めたこの巨大カメラを、普通車で牽引しながら各地を巡っているのです。“カメラ”とは、もともと“部屋”という意味。佐藤氏は、その部屋としてのカメラを実際に制作してしまったのです。彼らは、このカメラとともに各地を訪れ、時にはカメラの中に泊り込みながら写真を撮影していきます。出来上がりの写真サイズは2m×2.5m。北海道、仙台、東京、愛知、神戸、広島、浜田、沖縄…これまで訪れた場所で、その土地土地の風景を特大写真に記録してきました。
佐藤氏がこのように日本全国を巡るのは、写真を撮ることだけが目的ではありません。彼は、出会った人々にカメラの中に入ってもらい、映し出される精細な映像を体験してもらうことも重要な要素と捉えています。時にはカメラの魅力に虜になった子ども達にカメラジャックされることも…。写真を写す過程の中でいかに人と関わり、作品の中に地域と参加者を引き込んでいくかを重要視している佐藤氏の写真とカメラは、実に参加性の高い作品といえるでしょう。
本展では、日本各地を訪れた際に撮影した巨大写真約20点とバングラデシュのリキシャを使用して制作された「リキシャカメラ」も展示します。
※巨大カメラは5/3からの展示となります。
写真伝道師のごとく、各地を旅する佐藤時啓。さまざまな場所に出現し、カメラの中からみること、そして外から見られることを繰りかえし、巨大写真に時を刻んでいきます。佐藤時啓氏のマジカルなパワーと精細な作品の魅力、そしてカメラの楽しさを感じていただけることでしょう。