島根県津和野に生まれた案野光雅(あんの・みつまさ)は、24歳の時画家を志し上京、約10年間の教員生活を経た後、絵本作家として、装丁家として、エッセイストとして幅広く活躍。76歳を迎えた現在も世界各地を訪れ、旺盛な制作を続けています。
その絵本の世界は、自在な空想力とユーモア、豊かな情感にあふれ、大人から子供まで多くの人々を魅了し続けています。また、国際アンデルセン賞をはじめ、数々の賞を受賞するなど、国際的な絵本作家としての業績は内外で高い評価を得ています。
本展では、世界の愛唱歌34曲のゆかりの地をはじめ、建国史を遡るように旅したアメリカ大陸、偉大な音楽家パブロ・カザルスの足跡をたどったスペインのカタロニアほか、イギリスのコッツウォルド、フランス、イタリア、スイスなd、世界各地を旅する中から生まれた作品の数々118点を中心に、実際の現地写真や旅に携帯したロードマップ、旅先で購入したアンティークの絵具セットも併せて展示し、安野光雅の旅の世界を紹介します。
繊細で穏やかな画風で描かれたそれらの作品には、そこに暮らす人々や土地に対するあたたかな眼差しが滲んでいます。また、描く空間を箱庭のように捉える構図には、あらゆるものを視覚におさめたいとする知的欲求の充溢を見ることができるでしょう。「何かを見つける」安野光雅の旅の世界は、私たちを新たな扉を開く旅へと誘います。