500年余の長きにわたって続いた朝鮮王朝時代(1392-1910)は、日本では室町から明治時代にあたります。この時代朝鮮半島では、儒教の教えのもとで独自の文化が発展しました。四代世宗の時には国字のハングルが作られ、美術工芸の分野では李朝陶磁、李朝民画と呼ばれてわが国でもとりわけ愛好者の多い、朝鮮半島の文化を代表する美しい品々が生まれました。
〈ソンビ〉と呼ばれる知識人たちの書斎〈サランバン〉には、彼らの学識や教養をあらわす格調高い書画や陶磁・木工などの文房具が取りそろえられました。一方、男性とは明確に区分けされた女性の部屋〈アンバン〉にはきらびやかな螺鈿の家具調度が置かれ、彼女たちは、細かな手仕事による刺繍や組み紐、彩り鮮やかなパッチワークに時を費やしました。
本展では、朝鮮王朝時代の芸術文化を、男性社会の象徴〈サランバン〉と女性社会の象徴〈アンバン〉の二つの視点から紹介します。國立中央博物館始め、韓国を代表する美術館・博物館所蔵の240点余りの作品が一堂に会します。隣国の文化に深く接することのできるまたとない機会となるでしょう。