桂ゆき(1913-1991)は、戦前から現代までのおよそ60年にわたり、旺盛で自由奔放な表現活動を展開した女性芸術家のパイオニア的存在です。戦前独自のコラージュ作品で注目された桂は、戦後、人や社会を風刺した寓意的表現、画面の触感的な物質性を強調した抽象表現、さらにはコルクや布によるレリーフなどさまざまな作品を手がけました。コラージュを基本としたその表現には、常にひとつのものを別の視点から見返す複眼的な眼差しが含まれています。
生誕100年にあたり、初期から晩年までの油彩画やコラージュ作品など百数十点のほか、スケッチ類や本の装幀・挿画の仕事なども多数展示し、ユーモアと批評精神にあふれた多彩な表現世界の全貌を紹介します。