開館10周年を機に、改めて当館収蔵品の中核をなす中国清朝のガラスに焦点を当て、ガラスの皿や壺など全140点を一挙に大公開します。
中国清朝のガラス工芸は、康熙帝(在位1661~1722)の時代、主に皇帝に供されるガラス(玻璃)器製造のため、宮廷内にガラス工房を創設したことに始まると言われています。
その特徴は、赤や藍など透明ガラスの鮮明な色合いから乳白ガラスの不透明で淡い色合いまでの色数の多さ、コントラストの美しさ、器の表面を深く削り込んで文様を丹念に彫琢した浮き彫り、丸みを帯びた器の重厚な造りなどが挙げられます。同時代、西洋でのガラス工芸が透明で繊細な造形を追い求めたのと異なり、その独自の造形は今なお異彩を放っています。
中国清朝のガラスは、まだ日本国内ではあまりなじみがなく、所蔵及び公開している美術館はまだ数えるほどしかありません。今回の展覧会は、国内でまとまった中国清朝のガラス工芸を展観するのに、またとない機会と言えるでしょう。
清朝の皇帝たちが愛し、宮廷を彩ったガラス(玻璃)の器を通して、歴代皇帝たちの美意識と宮廷工房のガラス職人たちによる技の粋をご覧いただければ幸いです。