古来より多くの画家に描かれてきた草花。咲けば美しいが、やがて儚く枯れてしまう。その移ろう様は目に映るほとんど全てのものに当てはまる。生あるものだけでなく、私たちが住む都市や社会も日々姿を変えていく。そのなかで、私たちの心は変わらずにいられるだろうか。
私たちは大学で日本画を学び、現在は様々な素材を用いて制作をしている。私たちの作品に共通点を見出すなら、表現の繊細さと、画面に表れる緊張感が挙げられるだろう。微妙なバランスの上に成り立つ儚さは、脆弱なガラスのような精神が無意識のうちに反映されているのかもしれない。
今回の展示タイトル「私はあなたであった。あなたは私になるだろう」はラテン語の「Tu fui, ego eris.」を参考にした。「私はあなたのように生きていた。あなたもいずれは私のように死ぬだろう。」と示すこの言葉は、墓碑銘に刻まれることが多いという。移り変わる世の中で、私たちは生を見つめ、その貴重な一瞬を表出することを志す。