京焼とは、文字通り京都で焼かれたやきものを指しますが、その造形性、装飾性は多岐におよんでいます。
そもそもの起りは16世紀末期頃とされ、17世紀前半には登窯の技術導入によって本焼陶器の生産が開始されます。
その京焼が華々しい展開を遂げるのが、17世紀中期に色絵の技術を大成した野々村仁清の登場でした。仁清の色絵陶器は、当時の茶人の中でも人気を博し、将軍家への献上品として使用されるなど、確固たる地位を築き上げるとともに、これ以降の京焼の主要な装飾技法として定着していきます。
仁清以降も尾形乾山、奥田頴川、青木木米といった名工を数多く輩出し、京焼文化の隆盛とその技術の全国伝播が広がりをみせ、京焼の地位を不動のものとしました。
400年の長きにわたる歴史において時代を築いてきた名工の技は、一子相伝により代々の家職として継がれてきました。代々受け継がれてきた技術、いわば京焼の伝統を継承し創造的に発展させることを目的として結成されたのが、今日の京都伝統陶芸家協会です。
今回佐川美術館では、京都伝統陶芸家協会の創立55周年を記念した展覧会を開催いたします。本展では協会会員15名の個性豊かな作品により、現代の京焼のあり方やその真髄、そして受け継がれて行く伝統の技と美を展望いたします。