清里フォトアートミュージアムでは、写真表現に情熱を燃やす青年たちの作品を後世に残すために、35歳以下を対象に作品を募集し、選考ののち、優れた作品を館の永久コレクションとして収蔵しています。
2001年度ヤング・ポートフォリオには、世界32カ国から、585名の1557作品(5393枚)の応募がありました。2001年度選考委員、東松照明氏、木之下晃氏、細江英公(館長)による選考の結果、112名による157作品(312枚)を収蔵作品として購入しました。
20代には、たとえ不確かな衝動であっても、何かへの疾走が始まった時には確かなエネルギーとなって自己を形作っていくパワーが存在しています。そして、その過程で、その後の生を方向づける出会いとともに自らの鉱脈を発見するときでもあります。「写真を撮る」という行為により、自分は世界をどう見、あるいは見られているのかを知る。それぞれの作品は、その不断の応答を支える個の視線、個の思考が明らかな一方、予知もなく変容をし続ける時代への違和感と、将来への漠たる不安感を含みつつ、ドライかつクールな視覚化が成されています。また、そこには「写真を撮る自分」を楽しむ、しなやかな浮遊感も漂っています。
ヤング・ポートフォリオには、写真誕生の技法であるダゲレオタイプから、デジタルによるイメージまで、あらゆる表現形態が混在しています。それらは現代写真の様相を提示するとともに、さまざまな展開の可能性を予感させる未知のエネルギーを発しています。