日本を代表する美術家の一人である横尾忠則(1936年生、兵庫県出身)が半世紀以上にわたって制作を行ってきたポスターを展示します。
1960年以降、独特なイラストとデザイン感覚にあふれる《腰巻お仙》をはじめとする劇団状況劇場のポスターなどで、たちまち若い世代の注目を集め、大衆文化を代表する時代の寵児となりました。
その後、グラフィック・デザイナーとしての仕事はその時々の文化や生活、風俗を取り込み、ポスターからイラストレーション、ブックデザインなどさまざまな印刷メディアに、さらに版画や絵画、映画といった分野にまで広がり、激しい変貌を遂げた戦後日本社会の姿を反映しながら、私たちの脳裏に強く印象付けられてきました。現在まで一貫してつづけられたポスターの制作は、芸術家横尾忠則の核心を示すものと言われています。
今回の展覧会は、広範囲にわたる横尾忠則の仕事の中でも、その出発点であり、また常に彼の創作活動の中心にあったポスターに焦点をあてるもので、横尾忠則が初めて手がけた1950年代から現在に至るまでに制作された800点以上のポスターを所蔵する国立国際美術館のコレクションのなかから300点以上を選び、作者所蔵の最新作を含めた約400点により、横尾忠則芸術の全体像を見ようとするものです。