室町幕府が能楽を儀式に用いる楽(式楽)に定めてから、能楽は大名にとって重要な教養となりました。織田信長、豊臣秀吉に触発されて、加賀藩祖前田利家も能を深く愛好し、その伝統は、江戸幕府も能を式楽としたこともあり、歴代の藩主に継承され、能を厚く保護・奨励しました。
能面は仮装する役柄を明示するとともに、演者の僅かな所作によって鑑賞者に微妙な感情も伝達する重要な表現媒体です。そして形態や文様、色調によって、その役柄の身分や年齢、性格などを明確に伝えるのが舞台衣装としての能装束です。今回は前田家に伝来した能面・能装束などを両室合わせて約40点展示します。
●主な展示作品
翁 桃山時代 17世紀
花色地色絵花唐船模様縫箔 江戸時代 17世紀
紫地牡丹折枝に蝶模様長絹 江戸時代 万延元年(1860年)
緑地桐鳳凰文唐織(重文) 桃山~江戸時代 17世紀
黒地丸紋尽縫箔 江戸時代 安政7年(1859年)