「日本のゴッホ」「放浪の天才画家」と称された山下清は、1922(大正11)年に生まれ、49歳で亡くなるまで、昭和という激動の時代とともに歩んできました。その波乱に満ちた人生は、映画やテレビドラマにもなり、画家としての領域を超え、美術ファンのみならず幅広い層から支持されています。近年では、画家としての再評価が高まっているだけでなく、清独特の文体で書かれた文章にも注目が集まっており、山下清の人気は、ますます高まっています。本展覧会は山下清の生誕90周年を記念し、貼絵をはじめ、ペン画、油彩、水彩画、そのほぼ全画歴を網羅する作品約180点を紹介するものです。山下清の生い立ちから、貼絵との出合い、そして山下清の代名詞となった「放浪」の時代を第一章、放浪後、画家として活躍する姿を第二章、初めてのヨーロッパ旅行、そして貼絵による完成を夢見て挑んだ最後の大作「東海道五十三次」から晩年までを第三章として、数々の遺品や家族の証言、放浪日記などをふくめ、芸術家として、一人の人間としての山下清の「真の姿」に迫ります。