古来より漆は“Japan”とも称され、日本を代表する特異な技巧とされてきました。
漆黒の深い色合い、黄金色の放つ独特の光沢、その中に彩られた金銀・螺鈿細工、この艶やかで深い美しさは、日本人のみならず欧米の人々をも魅了しました。この漆を使った「漆器」は、幕末から明治にかけて膨大な数の作品が海外に輸出され、日本の伝統工芸品として今なお受け継がれています。
今回は収蔵作品より、この漆を主体とした蒔絵作品と、時期を同じくして発展した彫金作品、それに細密装身具である喫煙具を加え、これら三部門から秀逸な作品をご紹介いたします。
蒔絵作品では、手箱や硯箱・飾り棚といった調度品を、彫金作品では壷や花瓶・飾り皿といった主に海外輸出用に制作された金工作品を展示いたします。
また、江戸・明治の総合芸術品と称され人気を博した煙草入れも多数ご紹介、至高の技が織り成すさまざまな伝統工芸品をお楽しみ頂けます。