人類はいたるところで象徴を見出し、世界の様々な出来事や真理、秩序や起源は一定の時間と空間の中で秩序立てられた「物語」として表されてきました。様々なメディアによって無数の物語が生まれている現代においてもそれは変わりません。人々は数多ある物語の中から自分が共有できる物語を見つけ出し、それを自身の物語と重ねることで自らの感情や思考を理解し、それを語ることで自己認識をしてきたのではないでしょうか。芸術作品における「物語」とはどのようなものでしょう。ある象徴的な物語を作品の背景に持つことでしょうか、それともアーティストによって作られ作品の中で一つの場面として語られる物語でしょうか。あるいは空間の中に連続的な展開として示しうる物語であったり、作品が物語構造そのものに言及したりする場合もあるでしょう。いずれにせよ作品がある種の物語性を持つ時、アーティストの活動はそれ自体が物語と世界をつなぐ媒介となのではないでしょうか。2012年の秋AIRでは、アーティストの作品とその活動を「物語」という切り口から考えていきます。