加賀藩前田家には数多くの雛人形・雛道具が伝世しており金沢城二の丸御殿の御雛土蔵に納められていたという。
その雛人形・雛道具・御所人形は、藩主夫人によって代々受け継がれてきており、とくに次郎左衛門雛には由来の記された優雅な趣の内裏雛が伝わっている。
第五代藩主前田綱紀公側室預玄院より、第十代藩主重教公夫人壽光院に贈られた一対、また第十二代藩主齊廣公から隆子夫人(真龍院)の初節句に贈られたという一対である。
雛道具は大名の婚礼調度そのまま小型化しており、その種類の多さと細やかさに目を見張るものがある。
その雛道具一式の中には、婚礼調度の雛型といわれているものもあり、細部にわたって精緻に作られ、美術工芸的にもすぐれている。