寄木細工では、色とりどりの木材を組み合わせて、鉋?(かんな)?で薄く削って作った幾何学模様の経木?(ずく)?を、器などに貼って彩りとした、木のぬくもりとデザインとが一体になった工芸品で、とくに箱根の伝統工芸として知られています。今でこそ、「箱根土産」というイメージが強い寄木細工ですが、江戸時代から静岡県下を?中心に盛んに作られてきました。作品は、糸巻きやシガレットケースから、箪笥や机に至るまで多彩な趣があり、明治時代には盛んに輸出されるなど、形態も用途も実にさまざまです。
この企画では、国内最大の金子皓彦(てるひこ)氏のコレクションの中から約150点の作品を選び、近世工芸技術の粋と精緻な意匠の世界をご紹介します。