根津美術館の近世絵画コレクションは、屏風絵の宝庫です。そのひとつ、円山応挙(まるやまおうきょ)(一七三三~九五)の筆になる重要文化財「藤花図(ふじはなず)屏風」は、一筆で対象のもつ立体感をあらわす「付立(つけた)て」による幹や、赤紫や群青、白の顔料を印象派さながらに重ね合わせ、複雑な色合いとボリュームを表現する花房など、応挙の写生画風の真骨頂を示す作品です。本展では、この「藤花図屏風」を中心に、修理後初公開となる俵屋宗達工房の優品「草花図屏風」をふくめ、魅力あふれる屏風絵の数々をご覧いただきます。