平家物語絵巻はなんと長さが約940メートル、実に705場面!
武家として初めて太政大臣にのぼった平清盛と、その一族の栄枯盛衰を描いた『平家物語』は、日本で最も親しまれている物語の一つです。琵琶法師たちによって語り継がれた『平家物語』は、江戸時代になると流布本が定着し、それを底本として壮大な絵巻物が制作されるようになります。それらの中で代表的な作品が、当館所蔵の「平家物語絵巻」(越前松平家伝来、全36巻)です。土佐左助によって描かれたと伝えられる本絵巻は、本紙の長さが約940メートル、実に705場面を描いており、日本で唯一、『平家物語』の全文章を納めた「平家物語絵巻」として知られています。
本展では会期を前半(~9月2日)と後半(9月4日~)に分け、36巻全てを展示します。中でも「平家物語絵巻」に描かれた平清盛の姿を中心に、平家が我が世の春を謳歌した都の華やかな様子や、源頼朝や弟の義経を中心とした源平の勇壮な合戦の場面、壇の浦で平家一族が迎える悲劇の最期など、平家が栄華をきわめてから滅亡にいたるまでを振り返ります。あわせて岡山藩主池田家に伝来した『平家物語』(12冊)や、『平家物語』を題材として制作された能面や刀装具などの工芸品も展示します。本展を通じて、人々を魅了してやまない『平家物語』の世界に思いをはせていただきたいと思います。