ギラギラした夏の日差しから逃れて、木陰でほっと一息つく。風がそよそよ吹くのが感じられ、木々や土の匂いに気付く。のどを潤す水の一滴で生き返るような心持ちになる。誰しもそんな経験が一度はあるのではないでしょうか。中村研一(1895-1967)の絵は夏に描かれたと思われるものが多く、強烈に照りつける光に満ちた画面は観る者の五感を刺激します。太陽の光に色や香りはついていませんが、確かに感じる「夏の色」に「夏の匂い」……本展では、中村の描く「夏」を様々な切り口で展観します。油彩のこってりとした緑の色調や、水彩や墨で描かれるみずみずしい景色からあふれる「夏」を、はけの森美術館の木陰でゆったりとお過ごしください。