当館の顕彰画家、荻須高徳(1901-1986)は東京美術学校卒業後に本場の洋画を学ぶため渡仏しました。当時、フランスでは世界中から芸術家たちが集まり、作品制作をしていおり、荻須は中でもジョルジュ・ルオーの作品に強く心惹かれました。
ジョルジュ・ルオー(1871-1958)はキリストや道化師などを多く描き、この対象の内に飾り気の無い「純粋な祈り」を見出しました。厚く塗り重ねられた絵の具、力強い筆づかい、はっきりとひかれた輪郭線で独特の画風を確立し、世間の評価に惑わされず自分の芸術を追い続けました。
今回の展覧会では、風景を生涯のモチーフに選んだ荻須高徳が人物を多く描いたルオーの作品に魅了されていた一面を基に、銅版画ミセレーレを中心として表情豊かな作品の数々からその魅力を紹介します。