フランス北東部、ドイツと国境を接するアルザス地方のストラスブールは、欧州議会の本会議が行われる政治的中心地であると同時に、紀元前12年に建設され交通の要衝として栄えてきた古都でもあります。中でも周りを川に囲まれたグラン・デイル(「大きな島」の意)と呼ばれる区域は、中近世の古建築が密集する表情豊かな景観を呈しており、ユネスコ世界遺産に登録されています。
この歴史の厚みを感じさせる都市に現代性の象徴として1998年開館した近現代美術館は、19世紀後半の新しい時代の作品を対象に約1万8千点に及ぶコレクションを形成しており、文化藝術立国フランスでも指折りの規模を誇っています。中四国以西で唯一の開催となる本展では、同美術館のコレクションをメインに、「象徴主義」「印象主義からフォーヴィスムへ」「キュビスムとエコール・ド・パリ」「両大戦間期の写実主義」「抽象からシュルレアリスムへ」「1960年以降、コンテンポラリー・アート」の6章構成により、近現代の西洋美術の多様な展開をご覧いただきます。アルザス地方ゆかりの美術家達の作品を随所に織り交ぜ、絵画のみらずグラフィック・アートもふんだんに盛り込むことで、総花的な名品展とは一味違うテイストを持たせた展覧会です。