トリックアートともいわれる「トロンプ・ルイユ(だまし絵)」で世界中の美術ファンを魅了するオランダ出身の版画家M.C.エッシャー(1898-1972)。
現実ではありえない世界を描き、人々を魅了し続けるエッシャーは、風景や動植物、建築デザインや幾何学的な図形まで、綿密に計算し、卓越した版画技法を築き上げました。その不思議空間は、CG(コンピュータ・グラフィックス)が氾濫する今日でも決して色あせることはありません。
本展では長崎のハウステンボス美術館が所蔵するコレクションより約130点を公開。初期の緻密な現実世界を描いた風景画や詩集・物語などの挿絵として制作された作品、連続して〈変容〉するモチーフや〈無限〉を連想させ画面を埋め尽くす「平面の正則分割」、そして現実では有り得ない〈迷宮〉のような空間を創りだした作品など、初期から晩年に至る全貌をご紹介いたします。
人間の「想像力=創造力」がいかに無限で、可能性に満ち溢れたものかを再認識させてくれる視覚の魔術師・エッシャーの世界をお楽しみください。