ポール・デルヴォーは、1897年にベルギーのアンテイに生まれました。両親の勧めで1916年ブリュッセルの王立アカデミーで建築の勉強を始めますが、その後美術科へ入学して絵画の道へ転向、古典絵画を学びました。そして印象派的な作風や表現主義的な時代を経てデ・キリコやマグリットの作品と出会い、シュルレアリスム(超現実主義)と密接な距離を持つようになります。古代風の街や虚ろな瞳の女性たち、骸骨、列車、ランプなどを組み合わせた独自の幻想的な画風を確立し、ベルギーを代表する画家の1人となりました。
この展覧会では、ベルギーのポール・デルヴォー財団の所蔵品を中心に、紹介される機会が少ない初期の作品からほとんど視力が衰えた最晩年の作品まで年代を追って紹介し、その軌跡をたどります。また、デルヴォーが多用した列車やランプ等のモチーフにも着目し、実際にデルヴォーが所有していた模型等もあわせて展示します。日本初公開を含む絵画や資料約100点を通じて、デルヴォーの多彩な魅力をお楽しみください。