絵巻は、中国の画巻形式にならい、平安時代以降の日本で独自に発展した絵画形式です。横長の画面に次々とくり広げられてゆく場面を追いながら、物語の展開とともに季節の変化や時の移り変わりを感じとることができるのが、絵巻の大きな魅力といえるでしょう。
本展覧会では、日本絵画の伝統的ジャンルの一つである絵巻の世界を、茨城県が所蔵する近代日本画の優品を中心に展示するほか、絵巻体験コーナーなども設置して多角的にわかりやすく紹介します。日本の情景をしっとりと描いた横山大観の「春曙・秋夜」や、宮沢賢治の童話を基にその世界を色彩豊かに表現している小林巣居人の「よだかの星」、戦乱の世を舞台にした上田秋成の怪異小説をもとに描いた森田曠平の「雨月物語」など、20点の作品による絵巻の世界をお楽しみください。